2007年5月1日掲載
2007年5月1日掲載

一葉の文学への熱意に圧倒されます。


一葉の文学への熱意と「奇跡の十四ヵ月」をむかえるまでの過程をたどることができます。

 下谷龍泉寺町に住んだ期間に一葉が物した作品は、「琴の音」、「花ごもり」とわずかですが、記念館には「花ごもり」の其の一、其の二の未定稿が所蔵、展示されています。家業の商いに追われ、執筆活動がままならない焦りが感じられる一方、「塵中日記今是集」の記述からも、孤独な心の内や悲恋を描くに留まっていた表現から、商いなどの生活体験を通して次第に人生の底辺に生きる人々の心の機微や現実を闊達に描写する目を育んでいった過程が読み取れます。

「文學界」第14号の「花ごもり」掲載頁

「花ごもり」の未定稿、其の一の後半部分、一葉の創作への煩悶や試行錯誤がうかがえるようです。

館内一階入り口には、龍泉寺町の町並みを彷彿とさせる暖かな町家の板壁風の案内板があります。

年代毎に展示された所蔵品や資料からは、一葉の成長の過程をつぶさに見ることができます。