2010年10月1日掲載
2010年10月1日掲載

印象派、そして後期印象派の華がここにありました。

Q: 当美術館が、上野公園に建設された理由はあるのですか。
 

上野の地は、古くから芸術や文化の中心として利がありました。

 
青柳 : 松方幸次郎の縁の地である神戸も招致運動を行っていましたが、上野には東京国立博物館や科学博物館があり、文化の森、公園であったこと、高台で地盤がしっかりしていること、交通の利便という点を鑑みて決定されました。

Q: 他の美術館との分野の別や連携はございますか。

 平成13年(2001)に、東京国立近代美術館、国立西洋美術館、国立国際美術館、京都国立近代美術館の4館がグループ(現在は、国立新美術館が加わり、5館)として、独立行政法人国立美術館になりました。その際にそれぞれの領域を以下のように明確にしました。
 
・国立西洋美術館:中世から第一次世界大戦前までのヨーロッパ中心西洋美術。
 
・東京国立近代美術館:明治以降現代までの日本美術、第一次世界大戦以降の欧米美術
 
・国立国際美術館:コンテンポラリー
 
・京都国立近代美術館:京都画壇中心
 
 国立博物館は日本のものを中心に明治までが収集されており、また国立近代美術館は明治以降ということで、一部領域が重なるところもあります。(右上段に続く)
 

オーギュスト・ロダン「カレーの市民」(1884-88(原型)、1953(鋳造))

Q: 現在も収集は続いているのですか。
 
 多い時には3億円、少ない時でも1億円の作品購入予算があり、50年間収集を続けています。平成19年(2007)現在で、作品数は約4,500点に達しましたが、収集作品の多くは版画作品です。

Q: 他の美術館に比べて、作品の傾向として印象派の作品が多いように思われますが。
 

松方は、モネやロダンとの親交も深く、縁がありました。

 
 その通りです。松方の姪がクロード・モネに可愛がられていたため、直接モネに会い購入できたので、良い作品が揃いました。(下段に続く)
 

クロード・モネ「睡蓮」(1916)
 
ギュスターヴ・クールベ「罠にかかった狐」(1860)

 
Q: 代表する作品は、いずれでしょうか。
 

マネ、モネ、ルノワール、そしてセザンヌらの印象派、そして後期印象派への信奉は、こうして形成されました。

 
 モネの『睡蓮』、ルノアールの『アルジェリア風のパリの女たち』、クールベの『罠にかかった狐』、ミレーの『春』など数十点がありますが、ほとんどが松方コレクションです。後期印象派以前のものが多く、絵画、版画、彫刻(ロダン)などです。ロダンには、松方が資金援助をしていたので、58点(※ブールデル、マイヨールらの作品も含む)という有数のコレクションとなっています。(次ページに続く)


ピエール・ビュヴィ・ド・シャヴァンヌ「貧しき漁夫」(リヨン 1824,パリ 1898)

ポール・ゴーガン「海辺に立つブルターニュの少女たち」(1889)

オーギュスト・ロダン「エヴァ」(1907(原型))

オーギュスト・ロダン「エヴァ」(1907(原型))