2019年9月9日掲載
2019年9月9日掲載

ぼたん苑は、まさに百花繚乱の世界です。


上野東照宮ぼたん苑の豊増愛美さん
 

太陽(たいよう) 

上野東照宮ぼたん苑の豊増愛美(とよます まなみ)さんにお話しを伺いました。(2019年2月に取材しました。)
 

ぼたん苑の見頃について

 
Q : お客様は、どちらの時期に多いのですか。
 
 基本的には、土・日曜日の方が多いです。他には、正月の三箇日と、特に2月の中国などの春節(旧暦の正月)の時期に多くお出でになりますね。
 
Q : 苑内のあちらこちらに句が見受けられますが、ここで詠まれた歌は多いのでしょうか。
 
今年は冬牡丹のご開帳が37回目にあたりますので、開苑した当初から催していた投句大会でのご専門の方や入選された方が詠まれた句を展示しております。
 
Q : 冬牡丹よりも春牡丹の方が、品種が多いのでしょうか。ぼたん苑はいつ頃開苑されているのですか。
 
 そうですね。冬牡丹が40品種なのに対して、春牡丹は約110品種ほどありますが、やはり春が一番の牡丹の時期になりますので、ボリュームも品種も多くなっております。冬は、1月から2月の二ヶ月程、春は、4月の中旬から5月の中旬までの一ヶ月程、開苑致しております。
 
Q : 一番の見頃はいつ頃でしょう。
 
 会期中は一定数は咲いているのですが、ここ数年は4月20日あたりが最盛期で、全体の約半分が一挙に咲きます。
 
Q : 冬牡丹は温室で育てられているのですか。
 
 そうですね。一度掘り起こして、温室で育てています。
  
 

牡丹の由来は

  
Q : 稀少品種は、どちらの牡丹なのですか。
 
 こちらの戸川寒などが、冬の時期に咲く寒牡丹になります。お花は、他の牡丹よりも小さいですが、冬の季節に咲いて、また春にも咲く二期咲きの牡丹です。着花率はおおよそ2割以下でして、今年はこの一輪だけなのですが、貴重な品種です。
 


戸川寒(とがわかん) 


八千代椿(やちよつばき) 


島錦(しまにしき) 


玉天集(ぎょくてんしゅう) 

 
Q : どの品種が人気なのですか。
 
 八千代椿や島錦、あと黄色の品種も香りが良いので人気があります。
 
Q : 中国以外の海外品種もあるのですか。
 
 アメリカやフランス産の品種があります。アメリカとフランスのものは従来の牡丹とは少し違いまして、芍薬(しゃくやく)からの品種改良がされたものがあります。こちらの黄色の品種は、名前も洋風でハイヌーンと言います。(右段に続く) 
 


ハイヌーン 

御国の旗(みくにのはた) 

 
Q : 日本品種と海外品種の違いは何でしょう。
 
 大きな違いは分かりかねますが、欧米の品種は東洋系の品種よりも葉が細く、特にフランスやアメリカ品種の特徴です。他には葉にまで着色がされていたりする傾向があるのも欧米の品種の特徴のひとつですね。緑色で少し幅のある葉が牡丹の通常のものなのですが。
 
Q : ぼたん苑で、特にご紹介されたい箇所というのはどちらでしょうか。
 
 日本庭園の造りをしている箇所があり、ロケーションと牡丹を併せてお楽しみ頂けます。他の品種の花々も数多くありますので、お楽しみ頂けるかと思います。
 例えば、こちらは和紙や紙幣の原料となるミツマタです。独特の香りがあり、枝が三つに分かれているのでミツマタと呼ばれています。また、こちらに枝垂れ梅や馬酔木(あしび)や白梅がございます。また春には桜も咲きまして、ソメイヨシノや河津桜もございます。あとは赤い花のマンサクなどもあります。
 


ミツマタ 


マンサク 

  

海外の方への対応について

 
Q : ぼたん苑の現在の敷地は約3,000坪と伺いましたが、開苑された当初からどのように変わったのでしょうか。
 
 拡張工事を経て、現在は社殿近くまでの規模になりました。
 
Q : 中国の春節(旧正月)の季節にお客さんが増えるとのことでしたが、海外の方が多いのでしょうか。
 
 そうですね、年々増加傾向にありまして、全体の2、3割の方が海外の方です。日本の方は、お花だけを撮る方が多いのですが、海外の方は、お花とご自身を撮られる方をよく見掛けます。
 
Q : 海外からの方へは、どのように対応されていますか。
  
 日本語の他に、英語、中国語の繁体字と簡体字の四種類のパンフレットなどを用意させて頂いております。
 
Q: 日本と海外では鑑賞方法に違いがあるのでしょうか。
 
 春には、中国や台湾の方は、ご自身のお国でご覧いただく機会が多いと思うのですが、冬にたくさんの花を鑑賞されることは余りないと思いますので、冬の牡丹もぜひご覧頂ければと思います。


上野東照宮ぼたん苑の豊増愛美さん