2019年9月9日掲載
2019年9月9日掲載

三百九十余年の歴史が、銅葺きの屋根にも刻まれています。

 寛永8年(1631)に佐倉藩主土井利勝の寄進により建立された上野東照宮の五重塔は、その後の寛永16年(1639)に焼失し、後に再建されましたが、明治時代の神仏分離(神仏判然令)により取り壊しも検討されていましたが、寛永寺の帰属とすることで現在は上野動物園内にその姿を留めています。高さ33m、一層には薬師、阿弥陀、弥勒、釈迦の四尊が安置されています。昭和33年(1958)に東京都に寄贈されました。(下段に続く)
 


川瀬巴水「上野東照宮」(昭和4年(1929))
大正・昭和期に衰退した浮世絵版画の復興を目指して新版画運動を興した「昭和の広重」と呼ばれた川瀬巴水(かわせ はすい)は、上野東照宮の雪景色を描いています。(上野東照宮蔵)

上野動物園内の五重塔
 
 
 
 

きささげの木
慶安4年(1651)の社殿造営時に雷除けの願いを込めて植えられたと伝えられるきささげの木(ノウゼンカズラ科の落葉高木)が、三百九十余年の時を経て、今も夏には淡黄色の花を着けています。
 
 
 

神木の大楠
幹の周囲約8メートル、高さ約25メートル、樹齢600年以上の大楠は、東照宮創建の以前からこの地を見守っている上野の祖木です。
 
 
 

広島・長崎の火
昭和20年(1945)に広島、長崎に投下された原子爆弾投下の惨禍の中、広島で生き抜いた福岡県星野村の山本達雄さんが叔父の家の廃墟で燃えていた火を持ち帰り、平和を願う火として灯し続けました。星野村は、これを「平和の火」として今日も灯し続けています。そして、被爆45周年を迎えた平成2年(1990)に、「平和の火」から採火した「広島の火」、そして長崎の原爆瓦から採火した「長崎の火」が、上野東照宮の境内にあるモニュメントに点火され、平和への誓いの火として灯し続けられています。

社殿は、極彩色の欄間と黒漆と金箔に塗り分けられた蔀(しとみ)が、きらびやかな中にも落ち着いた調和を成しています。
 

透塀(国指定重要文化財)
向こう側が透けて見える透塀(すきべい)の上部には野山の生き物と植物、下段には海川の生き物の彫刻が200枚余り施されています。造営時には極彩色であったと考えられていますが、後の修理時にすべて弁柄漆(べんからうるし)で上塗りされていました。平成21年(2009)から25年(2013)の保存修理工事では、造営当時の彫刻や絵画を参考に、造営時と同じ岩絵具を用いて生彩色(いけざいしき)が施されました。生彩色は、金箔で覆った上から絵具で彩色を行う豪華な彩色方法です。
斑鳩(いかる) 
 
達磨蛙(だるまかえる)
鴎(かもめ) 
 
銀鶏(ぎんけい) 
 上野東照宮は、社殿、唐門、透塀、鳥居、銅灯籠などの数々の歴史的な重要文化財に加えて、牡丹(ぼたん)の名所にもなっています。昭和55年(1980)に日中友好を記念して、ぼたん苑が開苑しました。牡丹は中国を原産国とする花で、古来より「百花の王」と呼ばれ、鑑賞や薬用に重用されてきました。日本には奈良時代に伝来したと伝えられていますが、平安時代の枕草子(まくらのそうし)や蜻蛉(かげろう)日記にも登場しています。
 回遊式として整備された日本庭園に植栽された牡丹は開園当初は70品種程でしたが、現在では春には110品種600株、冬には40品種200株にもなりました。中でも、緑色系の「まりも」、二種の花色の「二嬌(にきょう)」、寒ぼたんの「戸川寒(とがわかん)」は希少性が特に高い品種です。現在では、中国品種、日本品種に加えて、アメリカやヨーロッパ作出の品種も加えられています。 
 
戸川寒
 

 
 

川瀬巴水「上野東照宮」(昭和4年(1929))
大正・昭和期に衰退した浮世絵版画の復興を目指して新版画運動を興した「昭和の広重」と呼ばれた川瀬巴水(かわせ はすい)は、上野東照宮の雪景色を描いています。(上野東照宮蔵)

上野動物園内の五重塔
 
 
 
 

きささげの木
慶安4年(1651)の社殿造営時に雷除けの願いを込めて植えられたと伝えられるきささげの木(ノウゼンカズラ科の落葉高木)が、三百九十余年の時を経て、今も夏には淡黄色の花を着けています。
 
 
 

神木の大楠
幹の周囲約8メートル、高さ約25メートル、樹齢600年以上の大楠は、東照宮創建の以前からこの地を見守っている上野の祖木です。
 
 
 

広島・長崎の火
昭和20年(1945)に広島、長崎に投下された原子爆弾投下の惨禍の中、広島で生き抜いた福岡県星野村の山本達雄さんが叔父の家の廃墟で燃えていた火を持ち帰り、平和を願う火として灯し続けました。星野村は、これを「平和の火」として今日も灯し続けています。そして、被爆45周年を迎えた平成2年(1990)に、「平和の火」から採火した「広島の火」、そして長崎の原爆瓦から採火した「長崎の火」が、上野東照宮の境内にあるモニュメントに点火され、平和への誓いの火として灯し続けられています。