
東京都美術館学芸員の佐々木秀彦さん

佐藤慶太郎を顕彰した銘文は、佐藤慶太郎記念アートラウンジに、その経歴と共に展示されています。

朝倉文夫「佐藤慶太郎像」
東京都美術館の佐々木秀彦さんに案内頂きました。本インタビューは2012年10月に取材したものです。
Q: 東京府美術館として開館した旧館の建物はどこに建っていたのでしょうか。
佐々木 : 旧館は、現在の旧東京音楽学校奏楽堂がある場所とその前の緑地に建っていました。昭和50年(1975)の新館の開館時にはしばらくは旧館も残っていて並列して建っていましたので、旧館を使って寺山修司氏主宰の劇団天井桟敷の演劇も行われています。
Q: 東京府美術館、そして東京都美術館の役割は、どのようなものでしょうか。
東京府美術館、そして東京都美術館は、近現代美術の作品を展示、紹介する目的として設立され、これらの作品が所蔵されました。また、近年では美術館ではワークショップ等の美術教育普及活動が盛んですが、これらのさきがけとしても始められました。当館が現在の形に改築された昭和50年(1975)に、公開図書室を日本で最初に開設しました。現在は美術情報室としてリニューアルされて公開されています。(右段に続く)
Q: 現在は、どのような公募展や展覧会が開催されていますか。
院展は当館で開催していますが、日展、国画会、二科展等は展覧会の規模が大変大きいため、東京都港区六本木に設立された国立新美術館で開催しています。また、新聞社や外部の機関とも共催で、昭和60年代以降、国内外の名品を紹介する企画展を開催しています。先頃も、マウリッツハイス美術館展では、フェルメールの作品を紹介していますし、メトロポリタン美術館展では、ゴッホの作品も紹介しています。当館は、80余年におよぶ長い歴史の中で様々な展覧会を開催してきました。
Q: 東京都美術館が、上野公園にある意義とは何ですか。
上野公園には、国立博物館、科学博物館を初めとして多くのミュージアムが集まっています。隣には東京藝術大学もありますので、これらの機関の専門家や知識や技能を生かした関係や連携を図る事で、「アートへの入口」としての美術館の意義を有していると思います。(右段に続く)
Q: 来場される方は、どのような方が多いのでしょうか。
中高年の女性の方が主流です。国内外の名品を紹介する特別展には子供さんから若い方、高齢の方まで沢山の方が来館されます。年間では270余の美術団体等による公募展を開催しています。これらの団体展の他に東京藝術大学の卒業作品展を初めとする多くの大学や小中学生の優秀作品展も開催していますので、学生時代に展示された方や作家に成られた方等が、思い出と共に訪ねられますので、また幅広い層のコミュニティが形成されています。(次ページに続く)

旧館、新館、そして今回のリニューアル後の新館の姿が模型で展示されています。公募棟、中央棟、企画棟のブロックとして設計された配置が見えます。(次ページに続く)


東京都美術館学芸員の佐々木秀彦さん

朝倉文夫「佐藤慶太郎像」